年齢とともに気になってくるのが背中の脂肪ではないでしょうか。背中に脂肪がつくとさまざまな不調の原因となったり、後ろ姿の見え方に影響することも少なくありません。
背中の筋肉をつけたいと思っても、具体的にどんな方法があるのかわからない人も多いと思います。背中の筋肉を鍛えるための効果的なトレーニング方法や、ポイントについて詳しく解説していきます。背中をきれいに見せたい、たくましい逆三角形の体を手に入れたいと考えている人も必見です。
背中の筋肉を鍛える効果・メリット
背中の筋肉(背筋)は普段見えない場所だからこそ、意識的に鍛えていく必要があります。背中を鍛えることで得られるメリットについて3つ紹介します。個人差もあるため、あくまでも参考にしてください。
猫背や巻き肩の予防・改善につながる
背中の筋肉のなかでも「僧帽筋」が弱いと、正しい姿勢を維持することができません。頭をしっかりと支えられなくなり、肩こりが起こりやすくなってしまいます。また、姿勢が崩れていることで腰に余計な負荷がかかり反り腰など腰痛の原因となります。猫背や巻き肩を予防し改善することにも繋がるため、背中の筋肉を意識的に鍛える必要があります。
生活のパフォーマンスが向上する
背中を鍛えることで、体幹の強化にも繋がります。大きな筋肉の背中は生活のパフォーマンスを向上させることにも繋がります。体幹を強化するとふらつきも少なくなり、転倒の予防にも繋がります。関節にかかる負荷も少なくなるため、生活のパフォーマンスを向上させたいと考えている人にとっても大きなメリットといえるでしょう。
背中から腰にかけてのくびれがより美しく見える
背中を鍛えると、中心にある「ヴィーナスライン」と呼ばれる縦線が入りやすくなります。ヴィーナスラインがあると、背中はもちろん背中から腰にかけてくびれのラインがより美しく見えるようになります。背中を露出した洋服やドレスを着たときにも後ろ姿が美しく見えます。また、男性にとっても逆三角形のたくましい後ろ姿が手に入るので自信を持てるようになります。
背筋を構成する3つの筋肉
背中(背筋)を鍛えたいと思うのであれば、広背筋・脊柱起立筋・僧帽筋の3つが重要です。背中は10種類以上の筋肉が折り重なった形状になっています。体全体を動かすことに関与していることもあり、意識的に鍛える必要があります。背筋を構成している3つの筋肉についてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
広背筋(こうはいきん)
お尻から背骨周辺に沿って背中の大部分を占めている筋肉のことをいいます。腕を使い、何かを引っ張るときに使う筋肉でもあり、体幹の安定性を保つ効果や、呼吸のサポート的な役割も担っています。広背筋を鍛えると、体幹を安定させ基礎代謝を高め痩せやすくする効果が期待できます。男性は逆三角形の体を作ることにも繋がるなど、幅広く効果があるのがわかると思います。座っているときの姿勢の維持にも影響する部分になるので、腰痛や肩こり対策にも効果的です。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
脊柱起立筋は、腰から背骨の左右にかけてついている人間の数ある筋肉のなかでも長いことで知られています。姿勢を保つためにも重要な筋肉になり、歩く時や立ち上がるとき、ものを持ち上げる動作などに必要な筋肉です。寝ている時以外は、常に動かしている筋肉ともいえます。鍛えることで上体のブレを解消し、体幹の強化に繋げてくれると考えられています。スポーツのパフォーマンス向上にも効果があるので、適度な刺激を与えて鍛えることが重要な筋肉です。
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋は、人間の後頭部から首筋、両肩に沿って広がっていきます。上部・中部・下部の3つのパーツで構成されており、それぞれに動きが変わってきます。体重の1/10にもなる頭部の重さや、腕の重さを支えている筋肉になり、常に動いている筋肉としても知られています。そのため、他の筋肉と比較しても疲労が蓄積しやすく辛い肩こりを起こしてしまいます。ポンプ作用が正常に働かなくなり、老廃物を蓄積させ肩こりの原因となります。背中を分厚くしたいときにも最適な筋肉といえるでしょう。
背筋を鍛えるダンベルトレーニング10選
背筋を鍛えたいのであれば、重さの調整がしやすくトレーニングメニューが豊富なダンベルを使ったトレーニングがおすすめです。ダンベルは気軽に取り入れやすいことはもちろん、可動域が広く日頃使う事のない筋肉を鍛えるのに適しています。最初は負荷の少ない軽いものから取り入れるようにしていくこともできますし、必要に応じて高重量の本格的なトレーニングに繋げることもできます。背筋を鍛えるダンベルトレーニングの方法について、詳しく説明していきたいと思います。
(1)ワンハンドロウイング
ワンハンドロウイングは、最も基本的なメニューとして知られています。
広背筋や、背中全体を鍛えるのに適しており、肩周りの筋肉にも効果的です。ベンチもしくは椅子を使った代用もできるので、場所を問わずに使いやすい点も、ワンハンドロウイングの良さといえるでしょう。
【ワンハンドロウイングのやり方】
- ベンチ(椅子)に片手と同じ膝をつき反対の手にダンベルを持ちます
- そのまま体の脇にまっすぐ持ち上げて、元の状態に戻します。
ワンハンドロウイングは、肩甲骨にある筋肉を使うことを意識するようにしてください。
視線はそのまま前を向いた状態で正しいフォームを意識しましょう。
(2)ダンベルベントオーバーロウ
ダンベルベントオーバーロウは、立ったままできる広背筋や背中全体を効率的に鍛えるトレーニングです。
場所を問わずにできるトレーニング方法でもあるので、正しい動作で行うようにしましょう。
【ダンベルベントオーバーロウのやり方】
- 両手でダンベルをもって、肩幅に広げます
- 胸を張り膝はつま先よりも前に出ないのを意識し、目線を上に向けます
- ダンベルをおへその位置に引き上げ、元の位置に戻します
ダンベルを動かすときに肩甲骨を寄せながら行うように意識してください。
前傾姿勢にはなりますが、猫背にならないように注意しましょう。
(3)ダンベルプルオーバー
ダンベルプルオーバーは、広背筋と胸筋の両方を鍛えられるトレーニング方法です。少しマイナーなトレーニング方法になるので、知らない人もいるかもしれません。
ベンチプレスとは違った負荷をかけることもできるので、筋肥大に挑戦したい人にも効果的です。
【ダンベルプルオーバーのやり方】
- ベンチに仰向けになって両手で持ち胸の前に構えるようにします
- 肘を軽く曲げ胸を張り頭部側に落としていきます
- 広背筋が伸びたのを感じたら、元の位置に戻し繰り返します
ダンベルプルオーバーは、トレーニング中にしっかりと脇を閉じるのを意識してください。脇が空いていると思うように力が発揮できなくなってしまうため、意識して行うようにしましょう。
(4)加重プルアップ
加重プルアップは、広背筋のトレーニングとしては効果の高い方法として知られています。日本語では「懸垂」のことをいい、プル・アップをダンベルを使うことで負荷を高めて行うやり方です。
リュックサックのなかにダンベルを入れて背負い、トレーニングを行う方法です。
【加重プルアップのやり方】
- ダンベルを入れたリュックを背負い、肩幅より少し広めに両手で握ります
- 肘を背中側に引きながら、胸を突き出すようにします
脚を振って反動をつけると、負荷がかかりにくくなってしまうので気を付けるようにしてください。
呼吸も意識しながら行うとより効果を高めてくれるようになります。
(5)ダンベルデッドリフト
ダンベルデッドリフトは、ダンベルを両手に持ちながら上半身を前に倒し起こす動作を行うトレーニング方法です。広背筋全体に効果的な方法としても知られており、背骨を安定させる筋肉を鍛えられます。正しいフォームで行うことで、腰痛のリスクを下げることにもなります。
【ダンベルデッドリフトのやり方】
- 両足を肩幅に開きダンベルを持ち、膝を曲げお尻をやや後ろに下げます
- 脇を締めたまま肩甲骨を背中の中央に寄せて、軽く肘を曲げ外側にセットします
- 足の付け根から上半身を前屈させすねの真ん中まで下げ、元に戻ります
腰が丸まった状態のままでトレーニングをしてしまうと、腰にかかる負担が大きくなってしまいます。できるだけ腰に負担がかからないように気を付けながら行うのを意識するようにしてください。
(6)加重バックエクステンション
加重バックエクステンションは、脊柱起立筋を鍛えるのに効果的なトレーニング方法です。ウェイトプレートを使い、加重をかけ負荷を増やして行います。何回挙げるのかによっても重量の程度が変わってきます。一般的には12㎏前後の加重をかけて行う人が多いようです。
【加重バックエクステンションのやり方】
- リュックなどにダンベルを入れ、床にうつぶせになります
- 手を耳に横に置き肩甲骨を寄せていきます
- 背骨をそらしながら胸を浮かせていきます
シンプルなバックエクステンションに加重をかけるやり方になるからこそ、フォームが崩れないように意識しながら丁寧に行うようにしてください。
(7)ダンベルアップライトロウ
ダンベルアップライトロウは、立ったままの状態でできるトレーニングになり、ダンベルを腰から肩の高さにまで引っ張っていく方法です。僧帽筋上部に負荷が入りやすい方法としてもおすすめです。
【ダンベルアップライトロウのやり方】
- 脚幅を腰幅にして立ち、適度な重さのダンベルを持ちます
- 肘を外に曲げてダンベルが前を通すように肩に引き上げます
- 息を吐きながら。肘を伸ばしダンベルを下げます
ダンベルアップライトロウは、反動をつけずに行うことで、余計な負荷をかけることなくトレーニングができるようになります。ケガのリスクを下げるためにも、反動はかけないように気を付けましょう。
(8)ダンベルシュラッグ
ダンベルシュラッグは、背中を鍛え上部の厚みを出したい人向けのトレーニングです。血行を促進し肩こりの緩和にも繋がるといわれています。
サイドレイズと合わせて行うことで、たくましい上半身を作ることにも繋がります。
【ダンベルシュラッグのやり方】
- ダンベルを握り、肩幅に脚を開き立ちます
- ダンベルを持ち上げながら上半身を前傾させます
- ダンベルを引ける範囲にまで引き、2秒程度かけてゆっくりおろします
ダンベルシュラッグは、腰を反らないように注意することや姿勢を意識するようにしてください。
(9)ダンベルリバースフライ
ダンベルリバースフライは、広背筋と僧帽筋を効果的に鍛える方法です。
シンプルな動きではありますが、ピンポイントに鍛えられる効果的な方法としてもしられています。
【ダンベルリバースフライのやり方】
- 両手にダンベルを持ち床と平行にしつつ、前傾姿勢をとります
- 肘を伸ばし肩甲骨を寄せつつ外に開きます
- 開ききったあとは、ゆっくりと元の状態に戻していきます
ダンベルを構えるのは胸の前を意識するようにすると、より効率的なトレーニングになります。
(10)グッドモーニング
グッドモーニングは、広背筋・脊柱起立筋・大臀筋などの筋トレに必要な部位を同時に鍛えられる方法です。名前の由来は、トレーニング中の姿勢が挨拶をしているように見えることが由来しています。
【グッドモーニングのやり方】
- 脚を肩幅に開き、両手でダンベルを持ち首の後ろでキープします
- 背中をまっすぐにしたままお尻を突き出し上半身を前に倒します
- 平行になるまで元に戻したあと、元の状態に戻ります
フォームが重要になってくるため、最初のうちは難しく感じるかもしれません。まずはダンベルなしで練習してみて、慣れてきたら負荷を増やしてトレーニングしてみるといいと思います。
ダンベルを使って背中を効率良く鍛えるためのポイント
ダンベルを使って背中を効率的に鍛えるために覚えておきたい2つのポイントを紹介します。
鍛えたい筋肉に意識を向ける
ダンベルを使って背中を鍛えるときに、腕に意識が向いてしまいがちです。効果的なトレーニングのためには、鍛えたい背筋に意識しを向けるのもポイントです。また、腕や肩に余計な力が入らないようにしつつ、反動をつけたトレーニングにならないように注意してください。そもそも筋肉について正しい知識がないと効果的なトレーニングはできません。狙った筋肉に負荷をかけないと筋肉は成長しません。
自分のレベルや目的に応じて負荷を設定する
ダンベルを使ったトレーニングは、自分のレベルにあったものや目的によって負荷の度合いを選ぶようにしましょう。筋力アップを目指しているのであれば1回~3回程度で継続できないような高負荷でも問題ありません。ただ回数をこなすだけでトレーニングの効果がでるわけではありません。トレーニングの回数が増えてきたときは、難易度の高いトレーニングに挑戦するようにしましょう。また、トレーニング後の回復期間を設定しつつ、休養の時間も大切にしてください。
まとめ
ダンベルを使ったトレーニングは、広背筋を鍛えて背中を引き締めたり厚みを持たせたい人にも向いています。ただ、やみくもにトレーニングを行うのではなく、目的やレベルに合わせて最適なトレーニングを行うようにしていきましょう。最初から難しいトレーニングを行うよりも、継続していくことで背中の筋肉も鍛えられますし、後ろ姿の印象も変わってきます。