レジスタンストレーニング(レジスタンス運動)というやり方を聞き、興味を持っている人もいるのではないでしょうか。筋肉を鍛えるためのトレーニング方法になるのですが、続けることで健康維持にも繋がると考えられ取り入れる人も増えています。レジスタンストレーニングとは何か、どんな効果が期待できるのかについて詳しく説明していきたいと思います。一言にレジスタンストレーニングといっても種類があるため、やり方や強度の決め方のポイントなどコツをしっかりと押さえるようにしておきましょう。

レジスタンストレーニング(レジスタンス運動)とは?

レジスタンストレーニングとは、筋肉に抵抗をかける動きを何度も行う方法です。骨格筋や筋肥大、持久力の向上を目的にしつつ、レジスタンスをかけて運動を行っていきます。また、レジスタンストレーニングには一次効果や二次効果によっても違いがあります。

トレーニングを行う人の身体の状態はもちろん、目的によっても負荷を調整しつつ進めていけるようになります。自分の体重を利用する方法であれば器具も必要ない分、場所を問わずに気軽に挑戦できる良さもあります。器具を用いてレジスタンストレーニングを行う方法の場合、負荷を調整しやすくなると言われています。どんなやり方にて行うのかで、得られる効果が違うのがレジスタンストレーニングの面白い部分ともいえるでしょう。

レジスタンストレーニングで期待できる効果

レジスタンストレーニングにはさまざまな効果が期待できます。
具体的にどんな効果が期待できるのか詳しく説明したいと思います。

筋力・筋持久力がアップする

レジスタンストレーニングは、筋肉に負荷をかける動きを何度も繰り返していきます。そのため、継続することによって筋力や筋持久力を高められることが、代表的な効果の一つです。筋たんぱく質の合成が分解を上回るようになると、骨格筋量を増やすため結果としてADL能力の向上にも繋がると言われています。立つ・座る・歩くなどの日常生活がスムーズに送れるようになり、転倒の防止やケガの予防にも繋がります。

健康的な身体を目指せる

レジスタンストレーニングを継続することで、筋肉量が増えると基礎代謝の向上も期待できます。
健康的な身体を目指すためには、以下のような改善効果が期待できるようになります。

  • 骨ミネラル濃度の低下を軽減することで、骨粗鬆症の予防に繋がる
  • 除脂肪体重の維持・増加による身体組成の改善に繋がる
  • 身体活動やスポーツによるケガのリスク軽減が期待できる

自己効力感による精神的な健康を保てる

トレーニング目標を達成することで、自己効力感を高め精神的な健康を維持できるようになります。自己効力感が高い人は、ストレスに対しての耐性の向上にも繋がると考えられています。他にも、自分が思い描いている体型に改善されることによって、自己イメージを向上させ自分に自信がもてるようになります。筋トレが与える心理的効果にはさまざまなものがあるので、レジスタンストレーニングを通して得られるものが多いのもイメージできると思います。

レジスタンストレーニングにおける「3つの原理」と「5つの原則」

レジスタンストレーニングを行う上では、「3つの原理」と「5つの原則」について正しく理解しておくことが大切です。それぞれわかりやすく解説していきたいと思います。

3つの原理

トレーニングの3つの原理について説明します。

過負荷の原理

過負荷の原理(オーバーロード)とは、日常生活以上の負荷を与えないとトレーニング効果は実感できないということです。日頃から運動をしている人か、運動していない人かによっても負荷のかけ方が変わるため、常に負荷を高めていくことが必要だと考えられています。

可逆性の原理

トレーニングを止めれば、どんなに積み上げてきたものも元に戻ってしまうというものです。体力はもちろん、体型を維持するためにも、いかにトレーニングを継続していけるかどうかにかかっています。効果が失われるまでの時間には個人差もありますが、トレーニング期間の長さも影響します。

特異性の原理

トレーニング内容に比例して効果が現れることをいいます。腹筋をすればお腹を引き締め、筋力アップが期待できるなど、目的に合わせたトレーニングを行う必要があることを示したものになります。どんな目的でも、目的にあった正しいやり方を行う必要が出てきます。

5つの原則

トレーニングの5つの原則について説明します。

全面性の原則

トレーニングだけに限った話ではないのですが、気になる部分だけトレーニングを行うのではなく全体的にトレーニングを行うことでより効果を高めるという考え方です。偏ったやり方をしてもケガのリスクに繋がってしまうため、全身をバランスよく鍛えることが重要になってきます。

意識性の原則

トレーニングをしているときに目的や意味を深く理解することも必要です。今、筋肉のどの部分に効いているのかを意識しつつ行うことによって、より効果を高めることにも繋がっていきます。運動の内容や目的・意義をよく理解しつつ、積極的に取り組むようにしていきましょう。

漸進性の原則

焦ってトレーニングをするのではなく、コツコツと積み上げていき少しずつレベルアップすることが大切です。急激に運動強度を高めたり頻度を増やすのはおすすめできません。激しい運動はケガの危険を伴いリスクとなってしまうこともあります。少しずつ順番を追って育てていくことで適切に身体を鍛えられます。

反復性の原則

継続していくことで効果が得られるという意味です。例えば、体力を向上させるためには週3日以上は習慣化してトレーニングを行う必要があります。一度では難しくても何度も繰り返し行うことで神経系を強化して自分のものに変えていくことができるようになります。身体の適応性を引き出しつつ効率的にできます。

個別性の原則

それぞれに適したトレーニングを行うことが大切であるという考え方です。特性や能力はもちろん、性別や年齢、生活環境や体力など個人差があって当たり前です。自分にあったやり方がわかるようになると、効率的に身体を鍛えつつ、継続意識を持つことにも繋がっていきます。

レジスタンストレーニングの主な種類

レジスタンストレーニングには、さまざまな種類があります。
そのなかでも代表的なメニューを紹介していきます。

自重トレーニング

レジスタンストレーニングのなかでも、自重トレーニングは自分の体重を負荷として行うやり方です。特別な器具が必要なく気軽にトレーニングが出来るのも特徴といえるでしょう。効率的にトレーニングがしたいと考えている人には少し物足りなく感じるかもしれません。自重トレーニングは、自分の体重以上に負荷がかかりませんし、筋肉や関節への負担が少なくケガのリスクを減らせる特徴を持っています。ただし、正しいフォームにてトレーニングを行った場合に限ります。安全にトレーニングを行いたい人にとっても、取り入れやすい方法といえるでしょう。

マシントレーニング

マシントレーニングは、専用のマシンを使ったトレーニングの総称のことをいいます。フィットネスジムなどで目にしたことがあると思います。マシンが身体を支えてくれますし、動きに制限をかけてくれるため安全にトレーニングが出来る良さもあります。またマシンは鍛える筋肉に合わせて選択できるなど初心者でも使いやすいのも特徴といえるでしょう。ただ、マシンがないとできないので自宅では難しい問題もありますし、狙っている筋肉以外の負荷がかけにくいなど効率的とは言い切れない部分も出てきます。

フリーウェイトトレーニング

フリーウェイトトレーニングは、持ち上げて行うタイプの器具を使うやり方です。例えば、ダンベルやバーベルなどの器具を使いさまざまな方向に自由に動かすためのトレーニングです。鍛える部位に合わせて動かしていくやり方になるため、シンプルで初心者にも向いています。全身をまんべんなく効率的に鍛えられますし、短時間でも効果が期待できるのも良さといえるでしょう。自己流のトレーニングになるとケガのリスクもあるため、正しいフォームにて行うことが大切です。

チューブトレーニング

チューブトレーニングは、チューブを使いトレーニングを行う方法です。チューブの張力によって大きくなるため、特別な器具が必要になることはありません。自宅でもトレーニングしやすく、シンプルでわかりやすいのもあり、初心者でも場所を問わずに気軽に始められます。筋肥大効果も高い特徴がありますが、自分で負荷を調整できるのでケガをしにくくなる点も大きな特徴といえるでしょう。チューブは自由度が高く飽きずに続けやすいのもチューブトレーニングの良さです。

レジスタンストレーニングのメニューと強度の決め方

レジスタンストレーニングの種類については理解できたものの、メニューや強度の決め方がよくわからないと思っている人もいるのではないでしょうか。レジスタンストレーニングのメニューや強度を決めるためにはどうしたらいいのか、そのための方法について説明したいと思います。

メニュー:目的や鍛えたい部位に応じて決める

レジスタンストレーニングのメニューは目的やどの部位を鍛えたいのかによって決めます。

  • 大胸筋や上腕三頭筋を鍛えたいときはプッシュアップ(自重トレーニング)
  • 腹横筋・腸腰筋を鍛えたいときはレッグノイズ
  • 大臀筋・大腿四頭筋を鍛えたいときはスクワット
  • 脊柱起立筋や骨盤底筋群を鍛えたいときはブリッジ

など、同じ自重トレーニングにしても部位によってこれだけの違いがあります。
目的を決めてメニューを考えていかないと思うように効果が出なくなってしまいます。
他にもさまざまなトレーニング方法がありますので、自分にあったやり方を探しましょう。

強度:最大反復回数(RM)を基準にする

レジスタンストレーニングの強度は、最大反復回数を基準にしてください。一定の負荷を最大何回まで持ち上げられるかを基準にしたものになり、回数が多ければいいとも限りません。1RMとは、1回持ち上げられる最大値のことをいいます。レジスタンストレーニングでどの程度成長しているのかを把握する基準にもなりますし、負荷を決めるためにも役立つ部分です。

レジスタンストレーニングを行う際に注意すべきポイント

レジスタンストレーニングを行うときに覚えておきたい注意するべきポイントを3つ紹介します。
ここで紹介している以外にも、運動の前後にストレッチを行うのはもちろん、筋肉や関節の柔軟性を高めるなどの基本的な注意点もしっかりと押さえておくようにしてください。

トレーニング中は呼吸を意識する

レジスタンストレーニングのなかでも高い負荷をかけたやり方だと、呼吸を止めてしまう人も少なくありません。無意識に力が入ってしまうと血圧が上がってしまうため危険性が高くなってしまう人もいます。トレーニングをしているときは、いつも以上に呼吸を意識するようにしてみてください。日頃のトレーニングのなかで呼吸を意識することを習慣づけておくことも大切です。

体調が優れないときは無理をしない

レジスタンストレーニングは、体調が優れないときに無理に行うものではありません。少しでも体調が悪いと感じたときは、その日のトレーニングは中止するようにしてしっかりと身体を休めてあげるようにしてください。トレーニングをしていて、いつもと違う部分があると感じたときは医療機関を受診するなど自分の身体にしっかりと耳を傾けるようにしてください。疲れがたまっているときや二日酔い、睡眠不足のときにも、レジスタンストレーニングを行わないようにしてください。

身体状況や目的に応じたメニューを組む

レジスタンストレーニングは、身体状況や目的に合わせてメニューを汲むことも重要です。合わないトレーニングをしているとケガにつながる恐れも出てきます。最初は簡単なメニューから始めるようにしておき、慣れを感じたらじょじょに負荷を高めていくことが大切になります。なかには、どのようなメニューやプログラムがあっているのか全くわからない人もいると思います。そんな人には、パーソナルトレーニングで相談してみるといいでしょう。

【状況別】レジスタンストレーニングの効果

レジスタンストレーニングは、トレーニングを行う人の状況によっても効果に違いが出てきます。
高齢者やリハビリ中の人が行うことで、どんな効果が得られるのか詳しく説明したいと思います。

高齢者のレジスタンストレーニングの効果

高齢者がレジスタンストレーニングを行うことで、身体の柔軟性を高め持久力や筋力の向上に繋げることも可能です。持久力を高めると心肺機能を向上させ疲れにくくなったり、循環器系疾患の予防にも繋がります。また、生涯をかけて関節可動域の向上も期待できます。健康な身体を維持しつつアクティブな毎日を過ごすことにも繋がってきます。高齢者の場合、できるレジスタンストレーニングを継続的に行うことで、習慣化するようにしていきましょう。

リハビリ中のレジスタンストレーニングの効果

リハビリ中のレジスタンストレーニングは、筋力や持久力の改善、転倒予防や日常生活の改善など幅広い効果が期待できます。また、トレーニングを行うことで、自分の自信を回復することにも繋がりますし、加齢や疾患に伴う、筋肉量の減退効果も期待できます。無理のない範囲で行うことが推奨されています。

まとめ

レジスタンストレーニングは、健康促進や体型維持などさまざまな目的によって行われています。筋肉に一定以上の負荷をかけて筋力を鍛えていきますが、決められた形があるわけではなく自由なので自重トレーニングや専用マシン、チューブなどの自分にあった方法で行うようにしていきましょう。無理な回数でするトレーニングではなく、適度に休息も入れつつ自分たちにあった方法で行いましょう。