握力トレーニングに興味を持ちつつも、どのように鍛えたらいいのか迷っている人もいるのではないでしょうか。トレーニングをしている人のなかでも、握力は見落としがちな部分です。握力を鍛えるとどんなメリットがあるのでしょうか。また、握力のトレーニング方法にもさまざまなものがあるため、レベルに合わせて最適なトレーニング方法について紹介していきます。握力トレーニングについて、もっと詳しく知りたいと考える人は、参考にしてみてください。

握力とは?

握力は、指を使って手を握る力のことをいいます。
日常生活のなかでも欠かせない「物を掴む」「物を持ち上げる」という行為では、握力が活躍します。握力が弱いと思うように瓶のふたが開けられないなど不便さを感じることも少なくありません。

筋トレで握力は関係ないものというイメージを持っている人もいるのですが、高負荷なトレーニングを行うときにも安定感が生まれやすくなるという良さもあります。筋トレそのものの効果も変わってくるのです。

そもそも握力とは「前腕筋群」によって生み出されるものをいいます。前腕筋群は手首から肘までの筋肉のことをいい、それぞれ異なる役割を持った筋肉によって作られているのも特徴です。

握力を生み出す筋肉

握力を生み出す筋肉は、前腕筋筋のなかに含まれる「深指屈筋」「浅指屈筋」「長母指屈筋」 などのそれぞれ握力に直接関係する筋肉によってつくられています。具体的には、深指屈筋は、人差し指から小指までの4本の筋肉、浅指屈筋は、人差し指から小指までの4本の筋肉のことをいいます。長母指屈筋は親指を屈曲させるための筋肉のことをいいます。また、前腕部全体を鍛えることでより効率的に力を伝えやすくなるともいわれているため、握力を生み出すためには鍛えるべき部位といえるでしょう。

握力の3つの種類

握力と一口にいっても、大きく3つの動きに分類されます。
「クラッシュ力」「ピンチ力」「ホールド力」の種類によっても変わってきます。
具体的にどのような動きのことを言うのかそれぞれ説明したいと思います。

クラッシュ力

握力のなかでも代表的なのがクラッシュ力です。物を握ったときの力の強さを示すものになり、握力計にて計測したときに表示されているため、目にしたこともあるのではないでしょうか。トレーニングの安定感をもたらすことはもちろん、スポーツでも小さなボールをしっかりと握れるようになるなどさまざまなメリットが期待できる力でもあります。

ピンチ力

ピンチ力は手のひら全体ではなく、指先でつかんだときにどの程度力が出るのかによって変わってきます。日常生活のなかではそこまで使う機会は少ないかもしれません。スポーツのボルダリングのときに、登るために使う力がピンチ力です。指の力でしっかりと体を支える力になるため、特定の運動やトレーニングで
役立つ力といえるでしょう。

ホールド力

ホールド力は、物をつかんだあとに離すことなく握り続けるための力のことをいいます。維持するための力ともいえる部分になり、重いものを持ち続けられるかどうかは、ホールド力が影響してきます。他にも鉄棒や雲梯にぶら下がり続けるときに維持できるかどうかの力でもあります。他の2つは瞬発的な力ともいえますが持続的な力になる点が大きな違いといえるでしょう。

握力を鍛えるメリット

人間は誰もがある程度の握力を持っています。握力トレーニングを継続的に行うことで「日常生活・スポーツ・筋トレ」において、すべてのパフォーマンスをさらに向上させることにも繋がります。握力を鍛えるとどんなメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

日常生活のパフォーマンスが向上する

握力を鍛えることで日常生活のパフォーマンスを向上する効果も期待できます。例えば「固い瓶のフタを開ける」「重い買い物袋を持つ」などの日常生活のなかのおけるちょっとした動作でもできることが増えていきます。腕や手を使う頻度が多いのもあり、握力がしっかりとしていれば疲れにくくなる点もメリットの一つといえるでしょう。握力がなく思うように力が入らないと感じている人も、握力を鍛えパフォーマンスを向上させましょう。

スポーツのパフォーマンスが向上する

握力はスポーツパフォーマンスの向上にも影響してきます。例えば、ボールを使ったサッカーやバスケットボールなどもあれば、バットを使う野球などスポーツで使う用具はさまざまな種類があります。これらを巧みにコントロールさせつつ、上手に伝達させていくためには握力が必要になってきます。疲れが蓄積しても、思うようなパフォーマンスが出来なくなってしまいます。

マシンや道具を使った筋トレのパフォーマンスが向上する

握力を鍛えることで高重量も扱えるようになる
鍛えたい部位より先に手が疲れて中断してしまうこと(特に上半身のトレーニングで起こりがち)もなくなる

握力を鍛えることで、高重量のマシンを扱えるようになります。特に上半身のトレーニングをしているときに、鍛えたい部位よりも先に手が疲れてしまい中断してしまった経験もあるのではないでしょうか。身体の背面を鍛えるプル系のエクササイズは、握力の差で決まってしまうことも少なくありません。高重量になればなるほど握力が必要になってくるため、鍛えておくメリットはたくさんあります。

【初心者向け】自宅で簡単に行える握力トレーニング

初心者でも自宅で簡単に行える、握力トレーニングを紹介します。

グーパー運動

グーパー運動とは、開閉運動と呼ばれているものになり単純な動きながら、しっかりと握りこむことで刺激され握力を向上させる効果が期待できるようになります。
ただ、負荷をかけたいときはある程度回数を行う必要も出てくるため、根気強く行う必要が出てきます。

グーパー運動のやり方

STEP 1両手を前に突き出して、両手を閉じ前腕筋に力を入れます
STEP 2その後、パッと両手を広げます
STEP 3この動作を100回×5セット程度行うようにしましょう

腕を突き出すようにしつつ行うトレーニングです。
真っ直ぐに力が入るように工夫しておきましょう。

ブックホールド

ブックホールドとは、本を使った握力トレーニング方法です。自宅にある本の厚さや数を調整することで、腕力に自信がない人でも、気軽にトレーニングが出来る点もおすすめです。

ブックホールドのやり方

STEP 1複数の本を用意して重ね、親指や4本の指で挟んで真っ直ぐにして持ち上げます
STEP 2この状態を握力が続く限りキープして限界がきたところで本をおきます
STEP 3この動作を2~3セットほど行うようにして様子を見ていきましょう

厚みのある本を増やして調整することで、強度を高められるので試してみてください。

雑巾絞り

雑巾絞りとは、雑巾を絞り込むようにタオルをひねるトレーニング方法のことをいいます。
タオル1枚用意できれば、誰でも簡単にできるのがメリットといえるでしょう。
握力を十分に鍛えられる方法としてもおすすめです。

雑巾絞りのやり方

STEP 1タオルの両端をもって前に伸ばします
STEP 2両腕を伸ばしたままでキープして、雑巾を絞るようにひねります
STEP 3ひねった状態で3秒キープして元に戻します
STEP 4この動きを10回ほど繰り返します

腕の位置が下に下がらないように意識しつつ、トレーニングを行うようにしてください。

【中~上級者向け】器具を用いた本格的な握力トレーニング

器具を使った、中級者~上級者向けの本格的な握力トレーニングを5つ紹介します。

ハンドグリップトレーニング

ハンドグリップトレーニングとは、握力トレーニングでよく見かけるハンドグリップを使う方法です。負荷設定を自分で調整できるので、低負荷のものから挑戦しつつ、高負荷のものに変えていくのもいいと思います。器具としての使い方もシンプルなので、すぐに使いこなせる良さも期待できます。

ハンドグリップトレーニングのやり方

STEP 1片手でハンドグリップを握り、閉じるまで握ります
STEP 2ゆっくりと広げて元の状態に戻していきます
STEP 3この動作を何度も繰り返し、反対側も同様に行います

ハンドグリップは、10回くらいできる強さで設定するようにしていきましょう。

パワーボールトレーニング

パワーボールトレーニングとは、内側に回転ローラーがついているボールを使った握力トレーニングです。大きさは、野球やテニスボールほどの小さなものではありますが、前腕筋群や上腕筋を鍛えられるのも特徴です。持っているだけでも握力を鍛えられるようになります。

パワーボールトレーニングのやり方

STEP 1パワーボールの内側にある回転ローラーに紐を巻き、引っ張ります
STEP 2パワーボールを片手で握りぐるぐる回します
STEP 35分ほど行ったあとに反対側も行うようにします

適度な早さで回すようにしないと手首に負担をかけてしまうので注意しましょう。

リストカール

リストカールとは、ダンベルを使いつつ握力を鍛えるトレーニング方法です。手首の強化はもちろんですが、前腕の筋トレも一緒に行うのでスポーツ能力向上のためにトレーニングしている人におすすめです。

リストカールのやり方

STEP 1ベンチに座り掌の上に片腕を台に置き、台に乗せた手でダンベルを持ち下げていきます
STEP 2手首をしっかりと反らし、ダンベルを持ち上げていきます
STEP 315回から20回程度繰り返し、トレーニングを行います

ベントオーバーロウ

ベントオーバーロウとは、バーベルを使うトレーニング方法で床においた状態でバーベルをお腹に引き寄せていきます。具体的には背中の筋肉を鍛えるものではありますが、バーベルを持っているので握力強化にも繋がる方法といえるでしょう。

ベントオーバーロウのやり方

STEP 1バーベルの前に立ち肩幅に脚を広げ、バーベルを握ります
STEP 2お尻を突き出した姿勢からバーベルをお腹に引き寄せます
STEP 3息を吐きながらひざ下にバーベルを下ろします

引き寄せるときに息を吸うこと、下ろすときに息を吐くのを忘れずに行うようにしましょう。

懸垂

懸垂とは、鉄棒のような器具を使ってぶら下がって鍛えるトレーニング方法です。ぶらさがる動きは簡単に見えますが握力が必要になってくるため、強化トレーニングにも繋がります。

懸垂のやり方

STEP 1両手を肩幅に開き、掌が自分に向くようにバーを掴みます
STEP 2顎の部分がバーの高さまで上がるように身体を引き上げます
STEP 3ゆっくりと力を抜き身体を下に下げます

肩甲骨を寄せるイメージで行うものになり、肘を伸ばしすぎないように気を付けましょう。

握力トレーニングを行う際の注意点

握力トレーニングを行うときに覚えておきたい注意点を紹介します。

握力トレーニングは毎日してもよい?

握力トレーニングは、毎日でもいいですし2日に1回程度のペースでも効果的です。もともと、前腕は回復が早い部分でもあるので、頻度を増やしつつ継続的に行うようにしていきましょう。

高齢者でも握力トレーニングはしてもよい?

高齢者でも握力トレーニングは必要です。日常生活で動きがスムーズにできるようになるので、快適に過ごせますし脳の活性化にも繋がります。握力の低さは日常生活の動作障害の原因になってしまいます。

まとめ

握力を鍛えることで、日常生活やスポーツ、トレーニングの向上にも繋がります。握力は比較的簡単に取組みやすいトレーニングでもあるので、まずは身近なものを使って挑戦してみてください。慣れてきたり、もっと強度を高めていきたいときは用具を使って鍛える方法もあります。握力を鍛えると、パフォーマンスを向上させることにもなるので、トレーニングに取り入れてみてください。